みなさん、はじめまして。吉田穂波です。
 今回、ブログを開設するに当たって、読者の方々と双方向性のやり取りができることを大変嬉しく思っています。

 日本で産婦人科診療を、ボストンのハーバード公衆衛生大学院で社会疫学の研究をしている私がこのような光栄なお話をいただいたのは、昨年私が仲間とともに翻訳出版した『肥満の疫学』(名古屋大学出版会)という本の書評を「日本医事新報」に載せていただいたことがきっかけでした。

 ハーバード公衆衛生大学院に籍を置きながら日本と米国を行き来していること、臨床と疫学研究をしていること、ドイツ・日本・アメリカでの出産、4人の子どもの子育てなど、国境や壁を越えた生き方が面白いと思われたのだと思います。

 もっとも、どれも両立というにはほど遠く、決してスマートではない生活を送っていますが、日々、周りの人々に助けられ、子どもたちにも教えられて生活しています。

 いつも人さまのご迷惑になることばかりで「子どもたちを抱えながらの学業、診療、研究は大変ね」と言われますが、私にとっては、「とんでもない!! 子どもたちからたくさんのことを教えてもらっています」という気持ちです。

 困った時に人に助けを頼めること、好意を素直に受け取ること、喜び上手になること、感謝の気持ちをふんだんに伝えることも、子どもが出来たからこそ習得できた技術です。



 この技術は、実は平時だけでなく災害時にも大変役立つと思います。東日本大震災の後、私は日本プライマリ・ケア連合学会が立ち上げた被災地支援チーム(PCAT)の妊産婦支援プロジェクトの一環で、宮城県石巻・南三陸・東松島を回り、妊婦さんや新生児の健診を行ってきました。

 また、多くの産婦人科医、助産師、小児科医のみなさんと被災地で不足していた母子へのケアにも参加しました。

 震災の現場では、妊婦さんや新米の母親たちが「弱者」と認識されず、いたわりや配慮の不足した避難生活を送っていました。確かに母親は弱者ではないかもしれませんが、子ども、お年寄りなど弱者の近くにいる存在です。

 その中で、困っていることを解決するためには人に頼ること、受援力、コンフリクト・マネジメント(意見が対立した時、建設的に話を進める能力)、ポジティブなコミュニケーションが大切だと思いました。"



 このような被災地支援の中から、コミュニティの基礎体力養成方法、いつ大地震がきてもちゃんと地域と連携して素早い動きをするために必要とされるものを、ここで皆さんと分かち合っていければと考えています。

 そして、ハーバードで学んだメディア学、交渉力、支援学、統計疫学手法、倫理・政治・経済など多分野多業種多職種のコラボレーション、ネットワーキング方法(非常時の備えには、常時からの顔の見えるお付き合い、仲良い連携、コミュニケーションが欠かせません)などについても、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。



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  どうぞよろしくお願いいたします。